車両保険の免責金額はどう設定したらいい?
車両保険に入るとき、契約者は免責金額を選択しなければいけません。「1回目の事故5万円―2回目以降10万円」に設定している契約が多いですが、「0―0万円」「0―10万円」「5―5万円」「10―10万円」などもあり、複数ある選択肢の中から選べるようになっています。
この「免責金額」ですが、車両保険金の支払いの際にどのように取り扱われるかご存知ですか?
車両保険の免責金額とは、事故が発生したときの損害額のうち、契約者が自己負担する金額のことです。「免責0−10万円」の場合、1回目の事故に関しては契約者の自己負担額はありませんが、2回目以降の事故の場合は修理代等の損害額から免責金額である10万円が差し引かれて保険金は支払われることになります。
ただし、損傷が激しくて修理不可能な場合や修理費が車両保険の契約保険金額よりも高い場合、盗難によりクルマが発見されないなどの場合は「全損」となり、免責金額が差し引かれることはありません(図表1参照)。
免責金額を高く設定するほど、保険料は安くなります。どれだけ保険料が安くなるかは車種や加入条件などによって異なりますが、一例としては次の通りです。
免責金額(自己負担分)が0円のものと、免責10万円のものとではずいぶん保険料が違いますね。でも、すべての事故で自己負担しなければいけないわけではありません。全損でなくても、相手が特定できる事故の場合、契約しているクルマに対する損害賠償金額が免責金額以上であれば、自己負担しなくてよいのです。
Iさんが交差点で衝突事故を起こしたケースで説明しましょう。
Iさんはこの事故で、クルマの修理代が80万円かかることがわかりました。Iさんは150万円の車両保険に入っています。免責金額は5−10万円です。初めての事故でした。
Iさんが契約先の保険会社に保険金を請求すると、保険会社から修理代80万円のうち免責金額5万円を差し引いた75万円が支払われました。
その後、相手との話し合いの結果、相手の過失割合が70%、Iさんの過失割合が30%であることが確定しました。
後日、相手が加入していた保険会社から、損害賠償金として80万円の70%にあたる56万円が支払われますが、このうち免責金額である5万円がIさんに支払われ、残りの51万円は車両保険金を支払った保険会社が回収することになるのです。つまり、「免責金額5―10万円」で契約していたとしても、相手がいる事故で相手から免責金額以上の損害賠償金を回収できれば、契約者の負担はなくなってしまうのです。
「自分に大きな過失があって事故を起こした場合は、免責金額程度の自腹をきるのは仕方ない」と割り切れる人は、免責金額を高く設定して、保険料負担を軽くしてみては?
車両保険で安くする by
柳澤 美由紀(CFP 福岡県 福岡市)