人身傷害補償保険と搭乗者傷害保険、受けられる補償はどれだけ違うの?
どちらも自動車事故でケガをしたり、死亡・後遺障害状態になったときに保険金が支払われる保険です。しかし、搭乗者傷害保険は対象となる損害に対してあらかじめ定められた金額の保険金が支払われる「定額払い」であるのに対して、人身傷害補償保険は保険金額を限度として実際の損害額に対して保険金を支払う「実損払い」になっています。具体的には、「補償範囲」と「保険金の支払い方法」が違います。
1.補償範囲の違いとは★搭乗者傷害保険・・・自動車保険をかけている車に搭乗中の人(運転者含む)がその車によりケガをしたり、死亡・後遺障害を被ったりした場合に補償されます。
★人身傷害補償保険・・・自動車保険をかけている車に搭乗中の人(運転者含む)がその車によりケガをしたり、死亡・後遺障害を被ったりした場合に補償されます。さらに、保険証券に記載されている被保険者(記名被保険者)とその家族については、歩行中や他のクルマに乗っていたときの自動車事故も対象になります。 ※「人身傷害補償に関する被保険自動車搭乗中のみ担保特約」を付加した場合は、搭乗中の事故のみの補償となります
2.保険金の支払い方法による違いとは★搭乗者傷害保険・・・契約保険金額をもとにして、あらかじめ定められた金額の保険金が支払われます)。
死亡した場合→契約保険金額×100%
後遺障害の場合→契約保険金額を上限に、後遺障害の程度に応じた一定割合(4〜100%)を乗じた金額が支払われます。
ケガをした場合→入院・通院日数に応じた保険金を支払う「日数払い」と、ケガの部位・症状が確定した段階で、その部位・症状に応じてあらかじめ定められた保険金が支払われる「部位・症状別定額払い」があります。どちらかを選んで入ることになりますが、「部位・症状別定額払い」のほうが保険料は安いです。人身傷害補償保険にプラスして搭乗者傷害保険に入る場合は、「部位・症状別定額払い」を選択したほうが保険料の負担は軽く、保険金の支払いもスピーディーになります(図表1参照)。しかし、人身傷害補償保険を付けずに搭乗者傷害保険のみに入る場合は、入院・通院日数に応じて保険金が支払われる「日数払い」を選択したほうが手厚い補償が受けられます(図表2参照)。
★人身傷害保険・・・契約の保険金額の範囲内で、実際の損害に応じて支払われる「実損払い」となっています。加害者からの賠償金の支払いがあった場合は、その額が控除された金額となります。また、過失割合にかかわらず保険金は支払われますが、損害額が確定するまでは受け取ることができません。支払いの対象となる主な項目は次の通りです。
死亡の場合→逸失利益、精神的損害、葬祭費用など
後遺障害の場合→逸失利益、精神的損害、将来の介護料など
ケガの場合→治療関係費、精神的損害、休業損害など
by
柳澤 美由紀(CFP 福岡県 福岡市)