<保険会社が替わっても等級は引き継げる?>
自動車保険では、用途や車種、担保条件等により基本保険料が区分されています。しかし、この区分では個別の危険度が保険料に反映されていません。
保険料の公平の観点から、過去の保険事故歴に基づいて保険料の調整を行っています。これが、ノンフリート等級別料率です。この等級は通常6等級からスタートし、1年間無事故(保険を使わないこと)であれば、等級が1等級アップし、事故があれば逆に3等級ダウンしていまいます。
保険会社によって異なりますが、最大で20等等級で6割引、毎年のように事故を起こしても下限は1等級で5割増(継続契約を拒まれるケースもありますが)止まり。
この等級ですが、保険会社が替わっても引き継ぐことは可能です。ただし、前契約が満期や解約などで終了した日の翌日から起算して、7日以内でなければなりません。
保険会社によっては、保険契約者や代理店の長期入院などの理由により更改できなかった場合は、8日以後30日以内の日であっても、等級を継承できる特則もあります(前契約と同じ保険会社に限る)。
また、継続契約の手続きを失念した場合を救済するものとして、一定の要件を満たせば、継続前の契約と同一の内容で継続されたものとして取り扱う特約もあります。
保険会社が替わったとしても、等級引継ぎは、割引だけではなく割増も引き継がれますので、1等級の方が保険会社を替えて新規の6等級にしようとしてもできません。
保険会社は、契約者や車の型式等によって前契約の有無等を照会できるシステムがありますので、ここで判明してしまいます。前契約で事故があった場合は、前契約から3等級減じた等級が引き継がれます(1等級下限)。
また、通常、中断期間が8日から13ヶ月ある場合、前契約の事故件数がない場合は、6等級以下の契約については前契約と同一の等級、7等級以上の契約は6等級として扱われます。
事故件数は、自動車1台ごとに、前契約の保険期間ないに発生した事故で、1回の事故について1件としてカウントします。未払いや未請求の事故も件数に含みます。
事故件数に数えない事故(ノーカウント事故、等級すえおき事故)もあります。例えば、ノーカウント事故として、人身傷害補償保険事故、搭乗者傷害保険事故、ファミリーバイク特約事故などがあります。信号待ちをしていて後ろからぶつけられ、けがをしてしまった場合は、搭乗者傷害保険などに請求できますが、このケースです。
ただし、これらと対人(対物)賠償保険が支払われた場合は事故件数にカウントされてしまいます。また、等級すえおき事故として、車両の火災・爆発、盗難などがあります。小石を跳ね上げフロントガラスが破損してしまったようなケースです。
等級継承はすべての車種間で行われるわけではありませんので、車を入れ替えたと同時に保険会社も替える場合は注意は必要です。
by
安井敏夫(CFP 東京都足立区)